まちづくりスポット神戸

ふれあい文庫 岩田美津子さんにきく「さわって楽しむ絵本の魅力」　参加レポート

てんやく絵本ふれあい文庫代表、岩田美津子さんの講演会に参加しました。講演会の前に開催された「さわるめいろ体験しよう」という体験ワークショップにも参加していたので、どんな話が聴けるのか、岩田先生がどんな方なのか知りたくてとても楽しみにしていました。

まずは岩田先生の生い立ちから始まり、てんやく絵本ふれあい文庫を立ち上げられた経緯をお話しされました。

てんやく絵本ふれあい文庫とは「見える人も見えない人も一緒に絵本を楽しみたい！」を趣旨とした特定非営利活動法人です。

全国の視覚障害者の方に、「てんやく絵本」を無料で郵送、貸し出しする事業に取り組んでいます。

てんやく絵本には、市販の絵本に文章を点訳したシートや、絵の形に合わせた作られたシートが貼られています。このような作業も、ふれあい文庫の方々がボランティアで行っています。

冒頭でこのような紹介があり、見える人と同じように絵本を楽しむためには、これだけの手間と労力がかかっているということを知ります。

そして、その団体を立ち上げたのが岩田先生。

このような活動を始めるきっかけは、ご自身のお子さんだったそう。

赤ちゃんの子育てといえば「おやつ・おもちゃ・えほん」だと先生は考えておられて、自分の子どもにもみんなと同じように絵本を読みたい！と思ったのがきっかけに。

私も、子どもが赤ちゃんだった頃を思い出し、確かにその3つに助けられ楽しみをたくさん共有していたなあと感じます。

しかし、目の見えない方がその楽しみを共有するためには、絵本の文字を読むことが必要になります。岩田先生は点字つき絵本を探しましたが、やはり種類が少なく悲しい思いをされ、今度は他の目の見えない親御さんはどうしているのだろう？と考えるようになったそうです。

ここで、ご自身の子どものためだけではなく、他の親子のことまで考えられる、という岩田先生の優しさに感動しました。

そこから色々な方の協力もあり、ふれあい文庫の立ち上げに至ります。

印象的だったのが、講演会の質問コーナーの中で岩田先生が好きな絵本を紹介されていたとき、ぐりとぐらの絵本を開きながら「この表情がとても可愛いですよね」と仰っていたこと。

この言葉から、見えなくてもさわることで絵本をめいっぱい楽しんでおられて、何より絵本をすごく大切にされていることが伝わってきました。

そして「ふれあい文庫がなくなる」というのが目標、とも仰られていました。ふれあい文庫がなくなるというのは、目の見えない方でも楽しめる絵本が、当たり前のように図書館で読めたり流通したりすること。ですがそれはまだ難しいから、これからも活動に励みます！と。

見えない世界を見えていなかった、見えているはずの私。

子どもと一緒に点字について学んだり、ふれあい文庫をまだ知らない方に伝えたり、何か一つでも、できることを始めていきます。

まちづくりスポット神戸　ライターボランティア　小川