イベントレポート
2022年10月30日(日)10:15〜11:45 父は少年兵だった~輸送船の墓場バシー海峡を生き延びて~(LABO大学ゼミ第1回)
LABO大学ゼミの後期が始まりました。
初回は杉山精一先生による、「父は少年兵だった~輸送船の墓場バシー海峡を生き延びて~」というテーマでの講義でした。
まずは先生自身がこれまでどんなところへ出向き、「戦争」というものと自分との関りについて考えて来たか、様々な経験をお話下さいました。
崩壊する少し前のベルリンの壁で…ルワンダのアメリカ大使館で…ロシアによるウクライナ侵攻がすすむなか懸念していることなど。
杉山先生の話を聞いていると、自分自身でその地を訪れ、自分の目で見て、人と話すことの大切さ、そしてそうしなければ気づけないことや分からないことの大きさを改めて感じます。
「世界の出来事で自分と無関係なものなんて存在しない」先生はいつもそういつも思っているそうです。
世の中のどんな出来事にも自分は関わっている、そう思うと見えてくる世界も変わってきます。
先生が今回の講義を通して伝えてくださったことは、こちら。
とくに自分の住む町でなにがあったかを知るということはまちづくりでもとても大事なテーマです。
講義で紹介された平和MAPを見るとここ垂水区の中にもたくさんの戦争にまつわる場所があることが分かりました。
こういったポイント実際に見て回る街歩きツアーができれば、戦争について自分事に寄せて考えるきっかけになるのではないかなと思いました。
ここ数年、先生は個人的記憶の普遍性について考える機会があり、そしてお父さんのことを話そうと決心したそうです。
実際に参加者のなかに先生と同じようにお父さんが戦争に行っていたという人もいました。
その方は「父は何も語らなかった」との先生の言葉にしきり頷いておられました。
身近な人の戦争体験を聞く、そんなことはどんどん難しくなってきています。
私たちは体験はないけれど、聞くことや伝えることはできる。
震災の記憶も同じですが、語れる人がいるうちに耳を傾けることがどれだけ大切なことか。
忙しさに追われる毎日ですが、未来を担うこどもを育てている子育て家庭こそ、ほんとうは自分事として考えることが必要なのだと感じました。
今の時代、デマやフェイクニュースに惑わされず、「点」の情報を自分でつないで「線」にする、情報の匂いを嗅ぐ能力が必要だと杉山先生は仰っていました。
知りたい情報、分かりやすい情報だけに囲まれていては、情報を線としてつなげることはむずかしい。
まずは自分が普段どういったところから情報を得て、生活しているかを考えるところから見直してほしい。
講義の最後はそう締めくくられました。
【講義で紹介された本】
村上春樹 「猫を棄てる 父親について語るとき」
山本七平 「日本はなぜ敗れるのか―敗因21カ条」
水木しげる 「コミック昭和史」
ちばてつや 「ひねもすのたり日記」
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レポートイベント情報
父は少年兵だった~輸送船の墓場バシー海峡を生き延びて~(LABO大学ゼミ第1回)
後期第1回は杉山先生による、戦争と平和について考える講義です。
風化していく日本の戦争の記憶に、私たちはどう向き合えばよいのでしょう。
アンパンマンのモデルがバシー海峡で亡くなったやなせちひろさん(作者・やなせたかしさんの弟)ということを知っていますか。
柴田練三郎さんの剣豪小説のモデル「眠狂四郎」誕生が、バシー海峡とつながっていることを知っていますか。
そこにどのような物語があったのでしょう。
知らなければ気づかない戦争の物語があります。
次の世代に「平和のバトン」を渡すために私たちに何ができるか考えてみませんか?
- 日時
- 2022年10月30日(日)10:15〜11:45
- 場所
- まちスポらぼ
- 【参加費】
- 1,100円
- 【事前予約】
- 先着10名程度
- 【お問い合わせ先】
- まちづくりスポット神戸
078-797-7833
macispo@cskobe.com